<台湾の漢方食材10選(お土産にも)|医食同源と食習慣

台湾の漢方食材10選(お土産にも)|医食同源と食習慣

台湾での漢方食材について、その種類と特徴、漢方食品の台湾での食品としての位置付けについて、台湾現地からレポートします。

漢方食材というと漢方薬を思い浮かべる方も多いと思います。日本では、漢方食材が日常の食材として使用されることはほとんどありませんからね。日本では「薬膳料理」と呼ばれことがありますね。

台湾では、漢方食材は食生活と切っては切れないほど日常的なものとして捉えられています。このように、漢方食材は毎日の食卓に欠かせない存在なのです。

そこで、今回は台湾でよく見かけられる漢方食材の特集をしていきます。ブログ記事などで既に採り上げているものもありますが、それぞれの食材の特徴や作用・効果などを簡単にご紹介します。

この記事の目次

ナツメ(棗、大棗)

台湾の料理では非常に良く使われている漢方食材です。特に、スープ系料理には使われていることが多いです。

中医学の世界では大棗(タイソウ)と呼ばれる生薬として知られ、豊富な栄養分と薬用効果があるとされており、多くの漢方薬に使用されています。日本では乾燥させたナツメが販売されていますね。

「気」や「血」を補う効果があるとされており、精神的な症状(気持ちの落ち込み、イライラ、不眠など)を解消し、心を安定させる鎮静の効果があるとされています。また、血液に栄養を送り込み、胃腸を整え、体力を回復する作用も期待できます。心身ともに疲労を感じた時に摂取したい漢方食材です。

  • 効果 : 便秘 / 冷え症 / 老化防止 / せき・喘息 / 腰痛 / 頻尿 など

関連記事:ナツメ(紅棗/大棗)は中華料理や薬膳料理の引き立て食材で薬効抜群

クコの実

ナス科クコの果実を乾燥させたもので、中医学での生薬名は枸杞子(クコシ)と呼ばれています。古代中国では長寿の言い伝えがあり、朝昼晩の食事とされていたという伝説も残されています。

「気」や「血」を補充して滋養強壮の効果が期待され、疲労回復、めまい、視力回復などには特に薬効効果があるとされています。疲れたなと感じた時には少しづつ食べてみてはいかがでしょうか。

  • 効果・作用 : 老化防止 / 視力回復 / 高血圧 / 関節痛 / 耳鳴り など

関連記事:台湾でクコの実は食卓に不可欠で健康と美容を支える食材

八角

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八角は中華料理では非常によく使用される漢方食材です。特に、肉料理には必ずと言っていいくらい使われています。台湾旅行で料理を食べた時に、独特の匂いを感じたら、それはこの八角の匂いだと思って間違いないでしょう。

  • 効果・作用:整腸作用、膨満感、吐き気

関連記事:日本人は台湾の香辛料・八角入り料理がなぜ苦手なのか?

はと麦

身体の老廃物を適度に排出するデドックス効果があるとされているため、吹き出モノやシミなどを改善し、美白効果が期待されます。

また、身体の熱を抑制する作用があります。さらに胃腸の働きを整えて、水分代謝を促し、体内の余分な熱を排出する作用もありますので、むくみや身体の倦怠感、下痢、神経痛などの症状を緩和する効果も期待できます。

  • 効果・作用:吹き出モノ/シミ/そばかす/むくみ/イボ取り/美白効果/神経痛/食欲不振/下痢 など

松の実

松の実は中医学では生薬として海松子(カイショウシ)と呼んでいます。漢方薬には身体を温める効果がある食材と身体の熱を鎮めるこうかがある食材がありますが、松の実は身体を温める作用があるとされています。

特に、薬効効果は滋養強壮、頭痛、便秘の改善などに効果があるとされています。また、ビタミン類が豊富に含まれているため、肌や髪、爪に潤いを与え、アンチエージング効果も期待できます。

  • 効果・作用:便秘 / 老化防止 / 美肌 / 滋養強壮 など

緑豆

緑豆は日本ではもやしの種として知られていますが、台湾では漢方薬の一種として、さまざまな料理の食材として使用されています。特に、夏の時期に台湾旅行をしたことがある方は、緑豆かき氷の看板を見たことがある方も多いことでしょう。

そんな緑豆は水分代謝を整え、老廃物を体外に排出させる作用があります。このようにして、身体の余分な熱を冷ます効果が期待でき、それと同時に利尿作用が高いため、梅雨時などのむくみや身体の倦怠感を緩和する効果も期待できます。

  • 効果・作用:むくみ / 便秘 / 滋養強壮 など

陳皮

陳皮とはみかんの皮を乾燥させたものです。みかんの香りを生かして紅茶に混ぜて紅茶みかんティーにしたり、お湯に煎じてそのまま飲んでもよいでしょう。また、煮物やスープなどに入れることもあります。

  • 効果・作用:整腸作用 / 咳止め / 冷え症 / 神経痛

黒米(黒糯米)

黒米は黒い色素であるアントシアニンと呼ばれ、抗酸化作用があり、また眼精疲労や視力回復に効果があるとされています。

また、「気」を補い、「血」を促進する働きがあるとされているため、滋養強壮やアンチエイジングの効果が期待できます。

  • 効果・作用:滋養強壮 / 眼精疲労の緩和 / 老化防止

白キクラゲ

白きくらげは漢方では美肌効果が非常に期待できるとされている食材です。皮膚に十分な潤いを与え、シワの防止や老化防止にも効果が期待できます。

食材の栄養は食物繊維とカルシウムが豊富な上に美肌作用がある亜鉛も含まれています。体内での保水力はヒアルロン酸にも匹敵するとされているため、皮膚を健康な状態に保ち、美肌の維持に貢献してくれるでしょう。

  • 効果・作用:美肌 / 咳止め / 老化防止

黒キクラゲ

台湾の食品庫には黒くらげが常備されているのが一般的です。黒きくらげは広葉樹の枯れ木に繁殖するきのこの一種です。

血の余分な熱を鎮め、身体に良い血を増やし、血行を促進する作用があります。そのため、痔などの出血性疾患や貧血に効果があるとされています。

また、黒キクラゲの栄養にはβ-グルカンなどの食物繊維が豊富に含まれているため、免疫力向上、便秘の改善、生活習慣病の予防も期待できるとされています。

  • 効果・作用:免疫力促進/痔/貧血/生活習慣病の予防 など

医食同源の食文化がある台湾での漢方食材のポジション

台湾では自宅で料理をする習慣がある家庭では、一般的には上記のような食材は食品庫に常備されています。日本ではかつお節、昆布、煮干しなどが味噌汁の出汁をとるために常備されているのと同じような感覚です。

台湾の食文化も中華文化の考え方の影響を強く受けており、中医学の健康管理の考え方とその土地に根ざした食文化が融合されて、医食同源の思想が醸成されてきたのでしょう。

そのため、食卓に並ぶ料理の一つひとつに、健康へのこだわりを感じ取ることができます。夏の暑い時期には身体の熱を冷ます作用のある漢方食材を使用し、冬の寒い時期には身体を温める作用のある漢方食材を使うという具合です。

また、身体にだるさを感じる時は血行促進をするような漢方食材を使い、胃腸の調子が悪い時には整腸作用のある漢方食材を使うというように、家庭の中での「医」が日常の「食」に融合しているかのようです。

台北には最も古くからあり問屋街として栄えてきた「迪化街」が有名です。この街には漢方食材を扱っているお店が無数にありますので、漢方好きな方は台湾旅行の一つとして漢方食材ショッピングを楽しんでみてはいかがでしょうか。漢方食材はお土産としても適しているので、土産話に花が咲くことでしょう。

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