台湾で大学講師として日本語教師3年目がスタート

経験談

台湾で大学の非常勤講師として、日本語教師3年目・5学期目が始まりました。今回は、3年目を迎える大学教員生活の現状について、台湾現地からレポートします。大学での講師としての5学期目が始まり、今何を思うのか?単刀直入に言うと、モチベーションが駄々下がりです。その理由は何か自分なりに自己分析してみました。

 

台湾の大学で日本語教師を始めるに至った経緯と現状

当初、特に、日本語教師を目指して台湾に移住したわけではなく、語学学校で中国語を勉強していた時期に、人づてに紹介された仕事が、偶々、大学非常勤講師として日本語を教える仕事だったという経緯でした。そのため、その時までに日本語教師としての経験はゼロで大学の教壇に立つという暴挙に打って出ることになったわけです。初めての授業ではテンパっている余裕もなく、イチかバチか一発勝負という意気込みで何とか乗り切った思い出も昨日の出来事のように思い出します。

その後は、毎週が授業の準備との闘いで期待と不安の日々を過ごし、日本語を教えることに対する自分の能力の限界と葛藤と対峙することになりました。その反面、私が以前想定していたような学生の学習に対する態度とは裏腹に、台湾の学生は日本の学生の同じように、それ程、学問に対する貪欲な学習意欲は感じられず、むしろ大学での単位取得を目的に授業に出席している学生が多いことに気付かされるにつれ、次第に授業前の緊張感は緩み、授業を進め方に慣れるにつれ授業準備も要領を得て、短い時間で済むようになりました(手抜き?)。

 

大学の教壇に立つことに慣れた

未だに学期が始まり1回目の授業には緊張感がありますが、大学で授業を担当することに慣れたことが最も大きな理由かもしれません。1年目の授業では、毎回の授業の教案(らしいもの)を作り込んで授業を進めていましたが、最近は詳細な教案を作らずに進めることも多くなりました。これは、担当する科目が、単純な「日本語」科目ではないということも理由です。

大学での授業担当に慣れたため、授業を比較的スムーズに進めることが出来るようになったということも出来ますが、授業の準備を100%の完成度でしなくても、例えば70%程度であっても、何とかなってしまうという状況に慣れてしまったということも出来ます。

 

担当科目が演習科目あるいは講義形式の科目

担当する演習科目の場合、あるいは授業形式を学生が演習するように進める形式にした場合は、教案そのものを作る必要がなくなり、演習に対して個別指導あるいはグループ指導をする形になるため、授業をする上での私の負担が少し軽くなります。そのため、毎回の授業の準備の負担も軽くなり、気が楽になるという訳です。

その結果、授業に対して失敗してはいけないという義務感のようなものも必要なく、学生の学習意欲が低い場合は、それなりにダラけた授業になってしまいます。あまりにも、学生のモチベーションが低い場合は、活を入れないといけませんが、今までの経験からすると3分の1程度の学生はそこそこモチベーションが高く、3分の1程度の学生は、何となく授業を受けている態度で、残りの3分の1程度の学生は、何とか単位さえ取得できればよいという状況です。

講義形式の授業科目の場合は、教師側の工夫をしないと、授業に出席しているほとんどの学生が寝てたり、スマホを弄っていたりという状況に陥ります。手と口を動かせるように授業を仕向けないと、グダグダの授業になってしまいます。教師側からすると、講義形式の授業は、予め授業を進めるための資料(パワポやハンドアウト)などを準備しておけば、授業時間内でこなすだけになりますので、それ程大きな負担にはなりません。そのため、授業への意気込みも緊張感も緩み、教える側の私のモチベーションはどういう訳か下がりがちになります。

 

日本語を教える適性と才能が低いのに何とかなっている

2年間、日本語教師をしてきて、実は自分は日本語を教えるための適性も才能も決して高い方ではないということに気付き始めています。たぶん、日本語教師を目指している大学生ぐらいの方で適性も才能も高い方の方が、私よりもよっぽど良い授業が出来ると思います。

自分の適性や才能が低い部分は、日本での社会人としての経験で何とか埋めているというのが現実です。とは言って、日本語を教える適性や才能が低いからと言って、それ相応の努力をして教授法を我武者羅に追い求めたり、多くの時間を掛けて学生全員が納得するような授業をしようという強い意気込みもありません。

その理由は、外国語の習得効果に影響を及ぼしているのは、教える側ではなく、学ぶ側のモチベーションに依存する部分が大きいことを日々実感しているからです。逆に言えば、私も中国語を学ぶモチベーションが高い時期は習得スピードは速かったわけですが、もうコレ位でいいや、と思い始めた時期からは、ほとんど中国語の語学能力は向上していません。このように考えると、外国語の習得は学習者のモチベーションに大きく左右されると思われます。

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