台湾で日本語教師養成班(師資培訓)を受講する方へ|私の経験談

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台湾で日本語教師養成講座(師資培訓・日語教師養成班)を受講する方へのアドバイスを兼ねて、実際に日本語教師養成班を受講した私の経験談と回想録を台湾現地からレポートします。

台湾で日本語教師を目指す日本人の方が増えているのでしょうか。私のブログを読んで頂いた方から、ちょくちょくメールなどで問合せの連絡を頂くことが多くなってきました。そこで、今までに受けた疑問や質問などを簡単にまとめておこうと思います。

 

日語師資培訓班に関するFAQ

某大学推廣部が開講している養成班(当時)を基に下記のような質問や疑問にお答えしていきます。あくまで、私が受講した当時のクラスでの話になりますので、その当時とはプログラムも変更されているかもしれません。また、その他の機関が開講している講座では全く異なるものになるかもしれないということを、予め断っておきます。

台湾での日本語教師養成講座はどのようなものがあるか?

日本では日本語教師養成講座と言えば、受講や訓練に関わることで420時間という時間的目安があります。そして、日本語教師養成420時間コースとは、文部科学省の外部行政機関である文化庁が示した「日本語教師養成のための標準的な教育内容」の指針に沿った養成講座を指します。

一方、台湾では、そのような規定等がないため、講座を主催する各機関が独自にカリキュラムを組んで開講していることになります。その上で、一般の人でも受講できる講座は、台北YMCAと中国文化大学推廣教育部が主催している講座になります。その他では、大学院などの研究機関で学ぶことになるかと思います。

台湾の養成講座の内容は十分なものだったか?

私が受講した講座では60時間程度で完結するもので、座学と模擬授業および実習見学という内容でした。座学は講師による講義形式とディスカッション形式あるいはその両形式により進められ、それぞれの講師により講座の進め方は異なりました。

また、模擬授業関しては、受講生が毎週順番に予め与えられた課題に対して、10~15分程度の模擬授業をするものです。私が受講した学期のクラスでは、みんな緊張して模擬授業をしているようでしたが、それとは反して和気あいあいと笑いが耐えない雰囲気の模擬授業が多かったです。

実習見学とは、実際の日本語教育の現場を見学させてもらい、その後レポートを提出するという課題です。私が見学した3つのクラスは、1つ目のクラスでは、単なる聴講生のような形で教室の片隅でジッと授業を聞いていただけでした。2つ目のクラスは、生徒と一緒に授業に参加させてもらう形になりました。そして、3つ目のクラスでは、実際に教壇に立って、授業の一部を担当することになりました。どのクラスを見学するのかは自由ですが、担当する教師の方針により、見学の意味が異なってきます。

養成講座の教材はどのようなものか?

私が受講した時のクラスでは、まとまった教材はありませんでした。担当する講師が、パワーポイントのコピーやハンドアウトのプリントなどだけでした。

講座の講師はどのような方か?

講座の講師は現役の日本語教師の方たちばかりでした。そのため、はじめて日本語を教えるようになった場合は、実際の教室の現場で、どのようなことが問題になるのかという観点からは、興味深い話を聞くことが出来ました。

講座終了後は、全受講生による講師への評価もあるため、講師の方たちも手を抜いているという雰囲気はありませんでした。講師の方は、日本人3人と台湾人2人の合計5人の先生方が輪番制で担当していました。

受講生は何人位で、どのような方たちか?

私が受講した時のクラスは、12~13名くらい参加していました。男女構成比は1:1程度でした。一般的には女性比率が多くなるとのことでしたが、たまたま私が受講した学期は男性の参加者が多かったようです。

受講している生徒は、ほぼ全員が下記のような経歴でした。

  • 日本の大学あるいは大学院で留学していた方
  • 台湾の大学あるいは大学院で日本語に関する学科・研究科出身
  • 日系企業などで日本語を日常的に使っている方
  • 日本人

基本的に、受講生は台湾人の方ばかりですが、時どき受講生として日本人の方もいるとのことでした。

受講生はどのような目的で受講しているのか?

受講生の方は、既に高校などで日本語を教えている教師の方、日系企業でバリバリ働いている方、日本語教室を運営し始めている方など何らかの形で日本語を使用したり、日本語教師として関わっている方も多くいましたが、その他の方は、これから日本語教師をして一歩を踏み出そうとしている方が大半です。そのため、養成講座を受講して日本語学校などで教師を目指している方が受講しているようでした。

もう一つ受講の目的を付け加えるとすれば、受講を修了すると受講修了証を受け取ることが出来ます。この修了証がどれだけの価値があるのか分かりませんが、日本と同様に台湾でも資格ブームの流れがあるのかもしれませんが、受講修了証を得ることも一つの目的でもあるようでした。

受講後には何かメリットがあるのか?

上記の通り、規定の時間を受講して課題をこなした場合は「受講修了証」を受け取ることが出来ます。また、空きポストがあり、意思と能力があれば、優先的に日本語教師として採用される可能性があるかもしれません。

授業中はどの言語で進められるのか?

基本的に、日本人の講師の方は日本語で授業を進めて、台湾人の講師の方は中国語と日本語で授業を進めていました。私が受講した時には日本人であることを考慮して、台湾人講師の方も日本語で説明していたのかもしれません。クラス全員が台湾人であれば、中国語だけで授業を進めていたかもしれません。

中国語があまり出来なくても講座についていけるか?

基本的に、台湾人講師の方は中国語で授業を進めるため、中国語が聞き取れないと授業内容が分からないかもしれません。ただし、PPTやプリント教材などを見ていれば、大体の内容は理解できます。

発言などをする場合は、周りの受講生は全員、日本語を理解できますので日本語だけでも大丈夫でした。もし、どうしても授業内容が理解できなければ、受講生であるクラスメートに教えてもらえばよいだけです。とは言え、全く中国語ゼロの状態で何も理解できない状況で、このような講座を受講するのはおすすめ出来ません。少しくらいは中国語(入門レベル以上)を学んでから受講した方が良いでしょう。

受講内容は実際の日本語教師の現場で役立っているか?

長い目で見れば、座学の内容(理論や知識など)も知っていることでプラスになることはあるかもしれませんが、総受講時間が少ないため、日本語に関する細かな点や日本語教授法に関す具体的なテクニックなどを網羅し切れていないため、やむを得ない部分が多くあります。

実際に日本語を教える立場になり、養成講座を受けて役立ったことは、模擬授業と見学実習です。模擬授業とは言え、実際に授業をするということになると、準備の段階では、教案作りから始まり、どのような授業の流れで進めていくのか、ある程度のトラブルなどを想定しながら、最終的に何を学生に身に付けてもらうのか、という全体のプロセスを体験できたことは、その後、日本語を教える時に最も役立ちました。

また、講師の先生方の実際の授業を見学したり、授業に参加したり出来ることは、出来るだけ多くの先生の授業スタイルを見ることで、自分の授業スタイルを形成するためには役立ったと思います。

その他に良かったことや良くなかったことは?

養成講座を受講して最も良かったことは、日本語教育という共通項をもつ友人が増えたことです。特に、日本人の日本語教師ではなく、台湾人の日本語教師の卵の方と知り合う機会が出来たことで、情報交換などができるようになり、このことが最も良かったことかもしれません。この講座で知り合った方たちとは、今でもLINEなどで繋がっています。

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