台湾の性産業合法化後の台湾社会の現実は?風俗違反者の罰則は?

台湾の性産業に関する現状と風俗事情についてのレポートです。数年前に、台湾では風俗産業が合法化されたというニュースで世間を驚かせました。

実際に法律上は指定エリア内では売買春行為が合法化されているわけですが、現状はどうなのか、エリア外での風俗事情はどうなのか、台湾社会の現実に切り込もうと思います。

 

風俗従事者の不平等の解消と権利の維持

台湾の風俗産業の合法化は2009年に裁判所により「社会秩序維持保護法」の「罰娼不罰嫖」(売春婦は罰則あり、買春者は罰則なし)という部分が売買春の当事者の不平等のため憲法違反に当たるとの判断を下されたため、改正されることになったことが始まりです。

そして、2年後の2011年に、法律が改正され、「性交易専区」と呼ばれる特別区域内での売買春は合法になったという流れになります。つまり、売買春を合法化することで、売春婦の職業としての権利を認めることにしたというものです。そのように、売春側と買春側の性の不平等を解消することで憲法違反を解消したというのが建前のようです。

 

売買春合法化後の現実は?

それでは実際に、性交易専区内では堂々と売買春の現実があるのでしょうか?
実際に私は現地に足を運んだことはないのですが、台湾人の知人の情報では、そのようなエリアで営業する売春婦もほとんどなく、そのようなエリアで買春をする者もいないとのことでした。

結果的に、表向きは売買春を一掃出来たということになっています。つまり、法律の改正で、台湾では違法行為であった売買春を合法化することで、憲法違反を正し、表向きは売買春をする者もいなくなったという、何とも皮肉な結論になったのでしょうか・・・?

 

売買春違反者の罰則は?

実際には、性交易専区内では売買春行為はなくても、それ以外のエリアで行われており、むしろ風俗産業が地下に潜り込んでいるのが現状です。
法律改正後、売春婦および買春者の双方ともエリア内での売買春行為であれば罰則なしとなり、エリア外での売買春行為は売春婦および買春者の双方とも3万元以下の罰金刑が科せられるようになりました。罰則は動機や目的などにより異なりますが、1回目の検挙では1500元以上の罰金、二回目の検挙では6,000元以上の罰金、三回目以上の検挙の場合は最高3万元の罰金が科せられます。

ちなみに、売買春に関わる法律にはその他にも「刑法」や「児童及少年性交易防制條例」 などの法律が適用されるようです。児童及少年性交易防制條例により、16歳未満の者との性交渉は、かなり厳しい刑罰が適用されるようです。16歳以上の者との性交渉の場合でも、1年以下の懲役刑または10万元以下の罰金刑が科せられるようです。

 

現代台湾の風俗事情と現実

現代台湾の社会の風俗ビジネスは、合法化以降も以前と同様に存在します。日本と同様に、デリヘル形式か秘密裏の置屋形式(一樓一鳳)が主流のようです。つまり、インターネット上に営業用の勧誘サイトなどでお客を勧誘し、それを見た男性がメールやLINEや電話などで連絡をとり、デリヘル経営者が女性を送り込むか、置屋の場所まで男性客を誘導する形のようです。

過去の新聞記事を参考にすると、台中市で1回500元の仲介手数料を搾取し6年間で、延べ人数11万2171人、合計5,608万元強の売上を上げ荒稼ぎをしたとのことでした。記事によると、1回あたりの金額は2,300元~3,200元だったと報じられています。2,300元/回としても、インターネットだけを介して、数名の男性スタッフと10数名の売春婦で、総額2億5000万元強の地下ビジネスが存在していたことになります。

今回の事件はモーテル(汽車旅館)の現場を警察が押さえたようですが、これは氷山の一角で、実際には個人営業、ホテル、サウナ(三温暖)などでも性産業は秘密裏に存在するとのことです。LINEやネットを通して、個人営業や置屋形式の場合は、一回の性交渉の価格は2,500元~5,000元が相場だと報道されています。中国人女性や東南アジアからの出稼ぎ女性を除く、日本人や韓国人あるいはロシア人やウクライナ人女性の場合は、6,000元~10,000元に跳ね上がるとのことです。

地下に潜り込んだ性産業の実態と地下ビジネスで繰り広げられる金額の大きさに驚かされると同時に、警察の捜査能力が問われていると結ばれています。ところが、知り合いの台湾人によると、そのような業界は間接的にどこかで警察などの権力と繋がっており、社会から一掃することは難しいらしいです。

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