ビンロウの種類・値段・作り方を台湾びんろうガールに取材レポート

台湾では一般的に普及しているビンロウの種類や価格、およびビンロウを加工して商品として販売されるまでの作り方などに関して、実際にビンロウを販売しているビンロウ店のビンロウガールに取材をしてきましたので、台湾現地からレポートします。

 

台湾で売られている3種類のビンロウの名称とは?

今まで気になっていたビンロウ店で扱っているビンロウの全てを(実際には)ビンロウ売りのオバさんに詳しく聞いてきました。ビンロウと言っても、販売されているビンロウには大きく分けて、3種類あります。

  1. 菁仔
  2. 包葉
  3. 双子星

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(左から菁仔、包葉、双子星)

上記のいずれのビンロウの商品の種類も原材料となるビンロウの実はビンロウ(檳榔)樹から採れる同じ種類のものです。

ところが、その果実の大きさ、硬さ、品質の良し悪しなどによりビンロウを加工して商品にする時には、商品ごとに使う材料が異なります。

具体的には、包葉という商品は、比較的大きな果実を一つだけ使い作ります。菁仔という商品は比較的小さな果実を1つだけ使って作ります。

また、双子星という商品は比較的小さな2つの実を使って作ります。

それぞれに、果実の硬いものを「多粒」と呼称して、果実の柔らかいものを「幼的」と言います。商品価値は、幼的の方が品質が高いため、少しだけ価格も高くなるとのこと。

 

原料となるビンロウの果実の品質が多すぎる!?

ビンロウの果実にも品質が区分されており、大きく分けると品質が高い順番に、「特白」、「白肉」、「紅肉」に選別されます。

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(左二つが白肉で品質が良いモノ、右側のものが紅肉で品質が悪いモノ)

これらの果実はビンロウの樹木の種類によって区分されるわけではなく、気候、天候、肥料、水などの生育環境により異なるのだそうです。

収穫期でビンロウの出荷が多い時期には、紅肉と言われる最も品質が悪いモノは捨ててしまうそうです。

また、加工前のビンロウの実は、少し専門的になりますが品質の高い順番に、「SS、S、外、不、合、中、西」という品質を示す記号により区分されているのだそうです。(たぶん、卸問屋と小売業者間での品質番号のようなものでしょう)

そして、このような加工前のビンロウの実を仕入れてきて、店頭で加工して商品化しながら販売をしているのが実態です。

ところが、この店舗では、店舗の運営だけではなく、ビンロウ栽培をしており、小さいながら自分のビンロウ農園も所有しているとのことでした。

ビンロウ樹は高いものになると、20メートル程度にもなりますが、ビンロウの実がつくと高枝バサミのような先に鎌の付いた棒で刈り取るのだそうです。

 

ビンロウ加工に必要な原材料と作り方

それでは実際に、包葉、菁仔、双子星のそれぞれのビンロウ商品の加工方法を実演してもらいましたのでご紹介します。商品になるまでに必要な原材料は下記のものです。

  1. ビンロウの実
  2. 石灰(白色と赤色のものがあります)
  3. 荖葉(包葉と双子星は使用する)
  4. 荖花(菁仔のみ使用する)

ビンロウの実は洗濯機のようなものなどできれいに洗った後、頭とお尻の部分を切り取っておきます。

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その後、包葉と双子星という商品を作る時には、「荖葉」と言われる10センチ弱の葉の表面にヘラのようなものを使って満遍なく石灰を塗ります。その葉を石灰の貼付面を内側にするように三つ折にします。

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包葉の場合は、少し大きめの鉢巻を作るように輪状にします。最後に予め用意しておいたビンロウの実を輪になった葉の中に詰め込むように入れて出来上がりです。

ベテランのビンロウ屋さんだったため、流れるように作業が進んでいき、少し画像がピンボケしてしまっています。

双子星の場合も、同じような作り方で葉っぱを輪状にして、二つのビンロウの実を葉の中に詰めて出来上がりです。

荖葉という葉っぱを使わない菁仔は、果実の中央に切れ目を付けて、その割れ目に赤色の石灰を塗り入れます。

その後、荖花と言われる花の大きな雌しべのような物を小さく切ったものを、その割れ目に挟み込んで出来上がりです。

荖花の原物の匂いを嗅いでみたのですが、少し強めの好い香りがしました。

 

台湾で売られているビンロウのお値段はいくら?

ビンロウの販売時の値段に関してですが、お客さんはほとんどの場合は、100元を支払い、自分が好きな商品を選んで購入していきます。

商品は、小箱入り商品と小袋入り商品の2種類があります。どこのビンロウ店も100元での販売価格となっていますが、各店舗により小箱や小袋の中の個数は少し異なる場合もあるそうです。

概ね、各小箱(タバコの箱より少し大きい程度)・小袋毎に下記のような個数となっています。

  • 小箱は2種類あり、15個/箱と20個/箱
  • 小袋も2種類あり、16個/袋(幼的)と22個/袋(多粒)

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そして、価格はというと、私が取材させてもらった店舗では、15個入りの小箱は、菁仔という種類の商品で最も安いものは4箱で100元で販売されていました。

つまり、60粒で100元ということになりますので、一粒あたり1.7元程度(7円程度)です。

少し大きめの箱に入っているビンロウの実が柔らかく商品価値が高いものは少し大きめの箱で販売されており、少し高めの価格設定で1箱50元だと言っていました。

台湾で売られているビンロウの価格をまとめると、1箱50元、1袋50元、4箱100元と箱の大きさ、ビンロウの種類や品質により異なります。

最も売れ筋の商品はどれかと尋ねてみたところ、ビンロウ売りの答えは、「包葉」という種類のビンロウ商品とのことでした。価格も比較的安くて、最も酩酊感を味わうことが出来るからかなと思いました。

 

ビンロウガールにその他の雑多な疑問を聞いてみた

ちなみに、これらのビンロウの加工後の商品は、鮮度が落ちていくそうですが、そうならないために冷蔵庫に保管されます。そして、2~3日程度は冷蔵庫に入れておけば問題ないそうです。

台湾ではビンロウを食べてもよい年齢は18歳以上と法律で規制されています。

そこで、気になったのですが、ビンロウ店は台湾の各地各所で見られ無数にありますが、このようなお店は許可制なのか、認可制なのか、あるいは何らかのライセンスが必要なのか、を聞いてみました。

ビンロウ屋のオバちゃんが言うには、10年以上前に政府が研修のようなものをするような政策を執ったみたいなのですが、あやふやなまま終わってしまったとのこと。

結局、現在はライセンスのようなものは必要なく営業が出来るそうです。日本人的には、口に含む食べ物であるのにもかかわらず、誰でも加工販売できてしまうというのは少し危険だなと思いました。

 

ズバリお尋ねします!ビンロウ屋は儲かりますか?

そして、最後に最も聞きたかった質問をビンロウ売りガール(オバさん)に聞いてみました。

そんな話を伺っている間にも多くのお客さんが引っ切り無しにビンロウを購入しに来ます。常習性があるもので、浮き沈みのない業種であるため収入は安定していそうです。

ズバリ「儲かりますか?」と単刀直入に疑問をぶつけてみました。

ビンロウを売り始めて、もう30年以上経つそうです。そして、夫婦2人で、この商売だけで3人のお子様を育てたそうです。それ以上はお答えしてもらえなかったのですが、自信満々の屈託のない笑顔が忘れられません。

そして、取材というより最後は身の上話になってしまいましたが、実演してもらった加工済みのビンロウを頂いてきましたので、早速食してみることにしました。

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