台湾の治安‐犯罪の多い都市と滞在中に注意したいことと危険な場所

日本から台湾へ旅行、移住やロングステイを考えている方の中には、台湾の治安は良いのか悪いのか、日本と比べて安全なのかどうか、と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか?

  1. 台湾の治安は、どうなのか?
  2. 台湾の犯罪率は、どれくらいなのか?
  3. 台湾で犯罪が多い都市は、どこなのか?
  4. 台湾で注意したい場所は、どこなのか?
  5. 滞在中に犯罪に巻き込まれないために注意したいことは?
  6. 台湾旅行中に注意したいことは何?

上記のような疑問を持っている方へ向けて、治安と犯罪という視点から、台湾現地の状況を踏まえて、お答えします。

この疑問に対して、最初に結論を言ってしまいますと、日本人の視点から見ても、台湾は警察などにより統治された法治国家であり、治安も良く安全な国というのが私の主観的な経験上の実感です。

それでは、もう少し客観的な情報をもとに、台湾の治安と犯罪について、詳しく解説します。今回参考にした統計データは、イギリスの経済誌「エコノミスト」が公表した「2017年世界の安全な都市」の世界ランキングと台湾政府内政部の犯罪に関する統計データです。

 

policecar

 

世界の安全な都市の世界ランキングで台湾は何位?

この調査は世界の60都市を対象にしたもので、49の指標について、安全性に関する4つのカテゴリーに分けて分析し、ランキングしています。

以下のランキングには日本をはじめ、台湾の都市もランクインしています。この情報から、世界の中での台湾の治安の良し悪しが見えてきます。

The Economistの世界の安全な都市の世界ランキング

(引用元:The Economist

 

 

アジア各都市の安全な都市ランキング

上記のランキングされた都市の内、アジアの都市だけをピックアップしてみましょう。

全体順位都市名指数
第1位(1)東京89.80
第2位(2)シンガポール89.64
第3位(3)大阪88.87
第4位(9)香港86.22
第5位(14)ソウル83.61
第6位(22)台北80.70
第7位(31)クアラルンプール73.11
第8位(32)北京72.06
第9位(34)上海70.93
第10位(41)ムンバイ61.84

 

最新の統計情報では東京が世界で最も安全な都市となっています。

また、3位には大阪が上位にランキングしており、日本が安全な都市として評価されていることが分かります。

日本も以前と比べ、犯罪率が高くなっているように思っていましたが、このようなデータを見ると、日本より海外の国の方が、更に犯罪率は悪く、悪化しているのかもしれません。

それでは、台湾の都市はどうなのでしょうか?
上表の通り、台北は全体では22位にランキングされており、アジアでは6位となっています。このランキングの平均指数は72となっていますので、台北は80.70と、大きく平均の指数値を上回っていることが分かります。

以上のランキング結果から分かることは、日本は世界の中でも、特に安全な国であり、安全な都市が多いと評価されているということ。

そして、台湾の首都・台北も安全な都市として評価されているが、日本(東京、大阪)の安全性ほど高くはないということ。

以上のことを踏まえて、下記では台湾国内の各都市別の犯罪について、考察してみましょう。

 

台湾の犯罪と犯罪率‐犯罪が多い台湾の都市はどこ?

ここでは、台湾政府内政部の統計データをもとに、台湾の都市(直轄市と各縣)別の犯罪件数をグラフにまとめてみました。

これにより、台湾で犯罪の多い都市と少ない都市、どのような犯罪がどれだけ発生しているのかが分かると思います。

ここで挙げている事犯の種別は、下記の通りです。

  • 空き巣
  • 強姦・強制わいせつ
  • 強盗
  • ひったくり
  • バイクの窃盗
  • 車の窃盗
  • 薬物

台湾での空き巣の犯罪件数の都市別ランキング

  1. 空き巣の事犯は地方都市(南投縣、花蓮縣、宜蘭縣など)で多い傾向
  2. 高雄市や台中市は空き巣の犯罪件数は比較的少ない傾向
  3. 台湾滞在中は空き巣の犯罪件数が多い都市では注意しましょう

台湾の都市別の住宅侵入による窃盗の犯罪率(人/10万人)

 

台湾での強姦・強制わいせつの都市別ランキング

  1. 澎湖縣は強姦などの性犯罪が極端に多い傾向
  2. 高雄市、台中市は性犯罪の件数は比較的少ない傾向
  3. 澎湖島や金門島へ旅行へ行く方は少しだけ注意しましょう

台湾の都市別の強姦・強制わいせつの犯罪率(人/10万人)

 

台湾での強盗の都市別ランキング

  1. 苗栗縣の強盗の犯罪発生件数は極端に多い傾向
  2. 台北市の強盗の犯罪発生件数は非常に少ない傾向
  3. ほとんどの都市で強盗に対しては神経質になることはないでしょう

台湾の都市別の強盗の犯罪率(人/10万人)

 

台湾でのひったくりの都市別ランキング

  1. 高雄市のひったくりの犯罪発生件数は飛び抜けて高い傾向
  2. 台北市と台中市のひったくり発生件数は比較的少ない傾向
  3. 高雄市への旅行中や滞在中はひったくりに注意しましょう

台湾の都市別のひったくりの犯罪率(人/10万人)

 

台湾でのバイクの窃盗の都市別ランキング

  1. バイクの窃盗は新竹市、桃園市、高雄市で多い傾向
  2. 嘉義縣と金門縣では比較的少ない傾向

台湾の都市別のバイクの窃盗の犯罪率(人/10万人)

 

台湾での車の窃盗の都市別ランキング

  1. 新竹縣、苗栗縣、嘉義市で車の窃盗は多い傾向
  2. 台北市や澎湖縣では車の窃盗は少ない傾向

台湾の都市別の車の窃盗の犯罪率(人/10万人)

台湾での薬物の都市別ランキング

  1. 基隆市と嘉義市で薬物に関する犯罪が多い傾向
  2. 金門縣では薬物に関する犯罪が少ない傾向
  3. 台湾本島への港がある都市では多くなる傾向

台湾の都市別の薬物の犯罪率(人/10万人)

台湾国内の犯罪についてのまとめ

台湾国内での犯罪について、総じて言えることは、さまざまな犯罪は発生しているものの、一部の都市を除いて、犯罪件数、犯罪率ともに、それ程高くはないということ。

上記の犯罪の内、旅行を含めて滞在中に、日本人が台湾で関係する事犯は空き巣、強姦・強制わいせつ、強盗、ひったくりの犯罪となります。

これらの犯罪に巻き込まれないようにするため、以下では事前に犯罪の被害者にならないための防止策を考えてみることにしましょう。

 

台湾で犯罪の被害者にならないための対策

台湾で犯罪に巻き込まれたり、何らかの形で被害者にならないためにはどうしたらよいの?

以下では、外務省の海外安全パンフレットをもとに、旅行者や滞在者が海外で注意すべきことを整理してみます。

渡航先の治安状況、犯罪の傾向や手口、法律や習慣を事前に熟知しておくことで、多くの事件・事故の被害を防ぐことができます。

(引用元:外務省)

 

下記は、一般的な海外旅行での心得を抜粋したものです。海外では下記のことを実践するだけでも、犯罪の被害者になる確率をグッと下げることが出来ることでしょう。

  1. 危険な場所には近づかない
  2. 多額の現金・貴重品は持ち歩かない
  3. 犯罪にあったら抵抗しない
  4. 見知らぬ人を安易に信用しない
  5. 買い物は信用のおける店を選ぶ
  6. ホテルの中でも安心しない

また、台湾と日本では異なる法律上のルールや習慣・マナーなどがあります。これらのことについては、下記の記事をご覧ください。

関連記事:台湾のタバコと喫煙マナー|日本より厳しいルール罰金10,000元

関連記事:台湾のMRTでは飲食禁止でガムも飴も罰金!!外国人旅行客でもNG

関連記事:台湾での飲酒の習慣は日本と違う!?台湾人の飲酒率は?

日本人観光客や滞在者が注意すべき財産犯罪

スリ

  • 路上でのスリ:特に夜市や伝統市場などの人混みの中でのスリに注意
  • バスや電車でのスリ:混んでいるバスや週末の電車内ではスリに注意
  • ショッピング中のスリ:買い物に夢中になっている時、エスカレーターの降り口付近でのスリ
スリの対策
  1. 口の開いたバッグ、上着のポケット、ズボンのお尻のポケットに貴重品を入れない
  2. 人混みの中で、押されたり、人と触れた時には、直ぐに持ち物を確認する

置き引き

  • 空港での置き引き:スーツケースを引き取る時に、カート上のかばんを置き引きされる
  • ホテルのロビーでの置き引き:ホテルのチェックイン時などに足元のかばんを置き引きされる
  • レストランでの置き引き:席取りのためにかばんをテーブルに置く、いすにかばんを掛けておく、イスに掛けた上着ポケットに貴重品を入れている場合
置き引きの対策
  1. かばんは常に手や体から離さない
  2. 足元におく場合はかばんが足に触れるように置く

関連記事:海外旅行でおススメの街歩きバッグの種類と選び方のポイント

ひったくり

  • 路上でひったくり:後ろから来るバイクにひったくられる
  • バスやMRT内でのひったくり:乗り降りのドアが閉まる直前にひったくられる
ひったくりの対策
  1. 後ろから走ってくるバイクには注意する
  2. 道路の路面側にはバッグを肩掛けしない
  3. 電車やバスのドアが閉まる直前には注意

夜間の強盗などの犯罪

  • 夜間や早朝の強盗には注意しましょう
  • 夜間の一人でのタクシーの乗車には注意しましょう
夜間の犯罪の対策
  1. 夜間の暗闇にはできるだけ出歩かない
  2. 夜間に一人での外出は避ける
  3. 特に夜間の女性一人だけのタクシー利用は避ける

 

台湾在住者の視点から台湾の治安と安全性についての意見は?

果たして台湾の治安は良いのか?悪いのか?
という疑問を、私の経験と主観的な感想を交えて、現地の状況を紹介します。

日本では無差別殺人事件が、何年かに一回くらいは起きていますね。実は、台湾でも同じように、数年に一回ぐらい社会を震撼させるような無差別殺人事件が起きています。

ところが、日常生活の中で台湾の治安が悪い、あるいは安全ではないと感じたことはほとんどありません。

よく聞く話では、人混みの多い夜市などではスリに気を付けたほうがよいとか、自動車を駐車した時には車上狙いに気を付けろなどという話は聞きます。

このような小さな被害については、事前に防止策を考えておけば、被害に合うことはほとんどないでしょう。

日本人が台湾の治安について考える時、思い出されることは1990年に起こった「台湾日本人女子大生殺人事件」でしょう。

観光旅行客を狙った大きな被害は、この他の国でもしばしば起きていて、2013年にもトルコ日本人女子大生殺傷事件が起きています。

つまるところ、このような人命にかかわる事件は、どの国に行っても起こりうることで、日本でさえ、このような殺傷事件は起きています。

確率的に観光客で、なおかつ女性が狙われ易いということです。つまり、社会的に弱者と思われる人が被害者となる可能性が高いと言うことでしょう。

やはり、このことについても、事前の防止策により、被害に合うことを回避できるのではないでしょうか。

それでは反対に、台湾では、どれだけ治安が良いかを私の経験をもとに紹介しましょう。

台湾では、日本以上に日常的に警察官が交通整備をしていたり、巡回パトロールをしている光景を目にします。

そのため、台湾の社会の中では、そのような警察官やパトカーの存在が犯罪発生の抑止力となっているように感じます。

さらに、台湾人の行動についての台湾社会の安全性について考えてみます。

例えば、先日、小さなことですが傘を置き忘れてしまいました。

kasa.jpg

後で気がついたのですが、急いでいたので、やむを得ず用事を済ませた後、置き忘れた場所に戻ることにしました。

一日中、大雨が降っていたので、たぶん誰かが持って行ってしまっただろうと諦めていました。

そして、半日後に置き忘れた場所に戻ってみると、自分の傘がそのままの状態で置かれていました。

あるいは、ある日、バスに乗車して降りる時にスマホがポケットからこぼれ落ちたようで、知らずにバスを降りようとしたところ、近くに座っていた方が知らせてくれました。

高価なスマホなんかはコッソリ持って行ってしまう人がいてもおかしくないと思いますが、このようなことは、何度も台湾で体験しています。

ある方の話では、財布を高鉄(新幹線)の車内に置き忘れてしまったようで、高鉄窓口に連絡をしたところ、泊まっているホテルまで届けてくれたそうです。

そして、肝心の財布の中身は、何一つ引き抜かれることなく、そのままの状態で手元に戻ったそうです。

まだまだ、台湾の治安の良い面、悪い面が分かっていないかもしれないですが、今まで台湾で「ヤラれた」という経験はないので、台湾の治安は比較的良いのではないかなと思います。

 

台湾で危険な場所はどこなのか?

夜間の街灯がない道路

  1. 特に春節(旧正月)にはどこもお店を閉めますので、どこ行っても真っ暗だったりします。
  2. 女性の方は後ろから歩いてくる人影に注意しましょう。
  3. 男性の方は人の後ろを歩く時には怪しまれないように注意しましょう(笑)。

夜間の公園

  1. 最近は大きな公園は外国人のたまり場になっていたりします。
  2. 人間に注意するだけではなく、野良犬にも注意しましょう。
  3. 夜間でなくてもホームレスが寝そべっていたりします。このような場所は避けましょう。

人混みの多い場所

  1. 夜市:士林夜市、六合夜市、逢甲夜市
  2. 観光スポット:龍山寺

歓楽街

  • 林森北路
  • カラオケ
  • クラブ

 

まとめ‐台湾旅行で注意したいこと

以上、台湾の治安、台湾国内で発生した犯罪の状況、犯罪の未然防止として旅行中や滞在中に注意したいこと、台湾で危険な場所について紹介しました。

最後に、台湾の治安についてのまとめと、特に台湾旅行中に注意したいことを、まとめておきます。

ここに注目

  1. 台湾は世界的にも治安が良い国
  2. 台湾の犯罪は少ないほうだが、都市によっては犯罪が多い場所もある
  3. 犯罪の被害者にならないために、自己防衛として最低限の心得は守りましょう。
  4. スリなどの軽犯罪に巻き込まれないために、人混みや歓楽街では注意しましょう。

旅行中・滞在中のトラブル、交通事故、病気などの更に詳しい情報は、下記記事をご覧ください。

関連記事:台湾旅行で注意すべきコト|犯罪・事故・トラブルに巻き込まれる前に

関連記事:台湾旅行をする方へ|滞在中に注意すべき病気と対処法

関連記事:台湾人の車の運転は危険だと感じる悪い交通マナー

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コメント

  1. tomo より:

    台湾の安全な社会に敬服します。
    日本は本当に安全ですが、コストが掛かりすぎます。
    台湾がちょうどよいと思います。
    夏に高雄旅行と、計画しました。
    楽しみです。

    心が豊かな台湾が大好きです。

    • いいぞっ より:

      コメントありがとうございます。
      今夏、高雄への旅行では、良い出会いや新たな発見があると良いですね。
      病気になる確率も「安全」指標には入っていなるかどうか分かりませんが、私は今回のウイルス感染による病気からようやく回復しました。(今回は回復までの期間が少し長かったです)

  2. BUBU より:

    台北には2月に、妻と2人で行きました。
    台湾人はとても親切で、日本人にとっては最高の旅行となりました。
    安全・安心・親切の3ブランド!!
    本日、JTBで台湾旅行の予約をして来ました。
    今度は家族4人の旅です。
    正月とあって、今から楽しみにしています。

    • いいぞっ より:

      コメントありがとうございます。
      2月の台湾の旅行では、良い思い出ができ、よかったですね。
      次回のお正月の台湾旅行も、家族4人で心に残る旅が出来るといいですね。
      台湾の旅行は、目的により台北だけではなく、地方都市もなかなか魅力的なスポットがありますので、時間と機会があればトライしてみてください。
      今後とも、当ブログをよろくしくお願いします。

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